坂梨一郎 |
植物園での経験や海外留学を通じて「園芸にはお洒落が必要」と考え、各種団体やTV、出版等のメディアを通じ「飾って楽しむ園芸」を世に広めた。その中でも特記すべきものは、草花を立体的に装飾し空間を演出する「ハンギングバスケット」で、園芸業界に新たなニーズを生み出し、多くの園芸ユーザーを創出し、草花の新品目、新品種の提案のみならず、関連資材の開発への関与やそれらの普及にも大きく寄与した。同時に「日本ハンギングバスケット協会」を設立し、指導者(ハンギングバスケット・マスター)を養成するための資格認定制度を確立、家庭の主婦を中心に多くの人材育成にも貢献した。現在では約2000名にも及ぶマスターが全国各地で活動した結果、日本のハンギングバスケット技術は登場よりわずか10年ほどで世界のトップレベルになった。 |
森和男 |
長年にわたり、国内外の植物資源を探索し、とりわけ中国奥地やヒマラヤなど東アジア地域の貴重な野生植物を園芸資源として導入、栽培し、日本における生態特性、適性などを見極め、執筆、講演等を通じて野生植物の魅力を幅広く伝道し、多くのファンを集めている。また、自邸に設けたロックガーデンを惜しみも無く公開し、組織には属さず独自な立場からの情報発信は、園芸業界、園芸有識者の知識や生産、栽培技術の啓蒙に重要な役割を果たしており、植物を伝えていく後進の人材育成にもつながっている。 |
吉池貞蔵 |
「いわて乙女」などのリンドウの名花を作出するにとどまらず、栽培技術の確立とその指導に尽力され、岩手県をリンドウの一大産地として育て上げ、世に知らしめた功績は絶大である。また、園芸試験場退官後は、培ってきた育種技術を用いて、バラの育種に精力的に取り組み、2009年にカナダ・バンクーバーにおいて開催された「世界バラ会議」のコンテストで、同氏のバラが最高賞の「ベスト・ローズ」という世界最高の栄誉に輝いた。最高賞を受けたバラは、ピンク色で花の形が美しい品種「手児奈(てこな)」。またリンドウやバラの育種と栽培の技術を軸に国際交流にも力を注ぎ、世界を超えた人材育成と花文化の架け橋の役を担っている。 |