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園芸文化賞Award

1990(平成2)年度 園芸文化賞

有瀧龍雄  植物分類学と鑑賞植物学を学び、昭和2年に私立植物園「アリタキアーボレータム」を創設し、その園長として60年以上にわたり内外の貴重な植物を導入・展示してきた。特に、マグノリアやコニファー類のハイブリッド作出や希少種の収集は高い評価を受けている。同植物園は昭和41年に文部大臣から博物館相当施設として指定され、社会教育にも多大な功績を残した。また、日本植物園協会や国際植物園連合など多くの団体で要職を務め、国内外の植物園活動に精力的に参加した。1981年には英国ケンブリッジ大学植物園150周年記念祝典に招待されるなど、国際的にも高く評価されている。
大林英夫  観葉植物生産に60年以上従事し、その技術と実績で園芸界に多大な貢献を果たしてきた。昭和40年に豊橋市南大清水へ拠点を移し、ドラセナやクロトンなどの量産から、ホンコンカポックやベンジャミンのスタンダード仕立て、スパティフィラムの品種改良といった革新を次々と実現した。特に市場性を重視し、観葉植物を日常生活に取り入れる新たな価値を提案した功績は顕著である。また、大林氏が研修生を育成し、80名以上の実務経営者を輩出したことや、その活動を支える「大友会」の存在は、次世代への技術継承の模範といる。これらの取り組みにより、観葉植物生産の普及と進化に尽力した。
片桐貞  長年にわたり日本の洋蘭業界の発展に多大な貢献をした。昭和初期から洋蘭の無菌繁殖技術に携わり、その黎明期における困難な技術革新を先導した。その後も日本洋蘭農業協同組合理事、日本洋蘭協会副会長として、蘭栽培技術の向上や普及に尽力された。また、豊富な知識と記憶力を生かして品種や交配の歴史を詳細に解説し、多くの生産者や愛好者に学びの場を提供した。片桐氏の活動は、日本の洋蘭文化の礎を築くとともに、後進の指導と支援を通じて次世代への継承を果たした。
菊地正夫  静岡県南伊豆においてストレリチアの栽培を中心に花き切花の産地化を推進し、さらにキングプロテアの露地栽培を国内で初めて確立した。昭和37年からストレリチア栽培を開始し、地域の地理的条件を活かした先進的な取り組みにより、南伊豆の花卉産業を発展させた。昭和53年には急傾斜地を開墾し、プロテアの栽培に挑戦。栽培事例が少ない中、独自の努力と研究により、昭和57年には初出荷を実現。キングプロテアの量産化を進める一方で、地域の生産者を指導し、プロテアの産地化を推進した。菊池氏の実績と熱意は、南伊豆の花卉産業に多大な貢献を果たした。
横山三郎  ツバキの品種収集とその文化的普及に尽力し、日本ツバキ協会の基礎作りや発展に多大な貢献を果たした。戦後からツバキの収集を開始し、自宅の約四千坪の椿園には、日本産の品種二千余種と海外品種千余種を栽培。自らの手で植えられた膨大なコレクションは、ツバキ研究と普及の重要な基盤となっている。同協会の会誌編集長、会長、名誉会長として、貴重な資料の保存や品種整理を推進。特に「江戸ツバキ」などの品種名の確立や、後進育成のための横山賞創設は、ツバキ界全体の発展に大きな影響を与えた。横山氏の多彩な活動と情熱は、日本のツバキ文化の発展に多大な貢献を果たした。
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