タンポポの品種番付 『蒲公英競』
東京牛込の住人仙楽園主人 撰
仙楽園むらかみ 明治三十二年三月(1899)
「タンポポきそい」と読む。春の野辺、道端を彩る花としてなじみが深い花である。タンポポ属は北半球温帯を中心に、やや寒冷地帯に到るまで広く分布し分類学者によれば四百種以上の種が自生すると云う。その内我国には約二十種が自生する。明治初年、札幌農学校では北米から種子を導入し、野菜として栽培を始めたのが畑から脱出し北海道一円に繁殖したセイヨウタンポポはまたたく間に本州に渡り、現在では日本中セイヨウタンポポの生え
ていないところをさがすのを苦労するくらいである。
しかしよく見るとまだまだ日本固有種の白花タンポポ(関西地区に多い)東海タンポポ(東海地方)関東タンポポ(関東以北)など、探して見るのも面白い。
さて今回の資料は、明治中期、どこにでも自生しているタンポポに目を向け、花や葉、草姿の変種株を見つけ出し、栽培化し名称を附けて番附とした。
こうしたものの見方は園芸をする者にって大切な視点であり、そのことが独自性のある楽しみ方に通じるのではなかろうか。あなたなら、どのような植物に目を向けられましょうか。
隠居 小笠原左衛門尉亮軒 記 (資料 雑花園文庫蔵)