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「園芸文化」の題字について

 2018年3月の「園芸文化」再々発刊以来、題字に何か意味をもつ文字はないかと常々思っており、古来名筆と云われた文字をあれやこれやと思いを巡らしていました。

 漢字の国、中国では書聖と云われた王義之、唐代の欧陽詢、顔真卿などの字も考えてみましたが外国のこと、我が国では道風、行成などは仮名文字は多く······などと、なかなか思いつかずにおりましたが、正倉院展を拝観する機を得て、聖武天皇自筆文書「聖武天皇宸翰雑集」が架蔵されていることを知り、その複製本はないかと調べたところ、大正時代に佐々木信綱氏によりつくられたコロタイプ版(実物を写真撮影し複製したもの)で実寸大のものが数部刊行されており、東京大学に三点、大阪府立中之島図書館などに所蔵されていることがわかりました。幸いにも、大阪府立中之島図書館で実寸大のコピーをいただくことができました。

 「聖武天皇宸翰雑集」は一万八千字に及ぶ長巻で、その中から「園」「芸」「文」「化」の四文字すべてを探すことは大変かつ至難なことです。しかし幸い「聖武天皇「雑集」漢字総索引」(合田時江編、清文堂刊)を見つけました。どの文字がどこに記載されているか記されている書物です。偶然にも「園」「芸」「文」「化」の四文字とも記載があり、こうして集字することができました。このうち文字が複数あるものはふさわしいと考えた文字を選び、会報編集委員会に語ったうえで採用となったものです。

 以上のような経緯により、新しく協会誌の題字に聖武帝自筆文字を利用させていただくことは、誠に畏れ多いこととは十分承知しておりますが、当会初代会長は島津忠重氏、その甥にあたる島津久永氏のところへ、昭和天皇ご息女清宮貴子様がご降嫁されました。これもご縁の内とお許しいただけるものと考えます。

※「園芸文化」の題字 130号(2022年1月)より使用

公益社団法人 園芸文化協会 隠居 小笠原左衛門尉亮軒

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