公益社団法人 園芸文化協会

公益社団法人        
園芸文化協会
トップページ > 園芸文化協会の活動 > イベント報告

園芸文化協会の活動Activities

【江戸の園芸で遊ぶ】@名古屋 2026年9月20日開催

今回のテーマは
  江戸の活け花の発達  
  「花を立つ——いけばなの源流を読む」

 2026年9月20日、当協会主催による講座 「江戸の園芸で遊ぶ」 を開催いたしました。 本講座では、雑花園文庫に所蔵される 室町末〜江戸〜明治期の立花・生花・挿花の図譜・伝書・錦絵を手がかりに、 江戸の花道がどのように成立し、どのように町人文化へ広がっていったのかを 体系的に読み解きました。 多数の皆さまにご参加いただき、心より御礼申し上げます。

■ 今回のテーマ 江戸の活け花の発達  「花を立つ——いけばなの源流を読む」
今回の講座では、雑花園文庫に架蔵される約25点の資料から、 その変遷を「図譜の発達」という視点で紹介しました。

■ 立て花、立花の成立と図譜の誕生(16~17世紀)
● 仙伝書(1536)
富阿弥系の立花を伝える最古級の伝書。 江戸初期における立花の基礎を知るうえで重要。 (「富阿弥 伝 西村又左右衛門」)

● 古今立花集(1672)
「刊本最初の花形図集」として知られ、 立花50図を木版墨刷・手彩色で収録。 立花の形態が初めて体系化された画期的図譜。 (「立花50図木版墨刷手彩色」)

● 立華正道集(1684)
京都出版文化の成熟を背景に、立花の「正道」を示した規範書。

● 立花時勢粧(1688)
富春軒・仙渓による豪華彩色図集。 器以外すべて手彩色で、元禄文化の華麗さを象徴。 (「立花図は器以外すべて手彩色あり」)

■ 元禄期 ― 美の極致としての立花(1690年代)
● 池坊立華百瓶図(1688頃)
六角堂池坊の門弟作品を含む、池坊の公式的標準図譜。

● 新撰瓶花図彙(1698)
「極密彩色図 最も美しい立花花形図集のひとつ」 元禄期の美術的完成度を示す代表作。

● 新撰五十瓶図(1699)
池坊専好・猪飼三枝らによる立花50図。 巨大立花奉納の記録など、当時の花道文化の広がりを示す。

■ 江戸後期 ― 生花の普及と町人文化への拡大(18世紀)
● 石州生花譜(1777)
武家茶道系・石州流の生花図。 生花が武家から町人へ広がる過程を示す。

● 挿花衣之香(1799)
遠州流の四季挿花図。 茶道美学が挿花へ取り入れられ、町人文化へ浸透したことを示す。

● 都林泉名勝図会(1799)
庭園図説だが、当時の花道美学の背景として重要。 (「京都洛中洛外の名庭園図説」)

● 挿花百規(1820)
池坊専定による、江戸後期挿花の再解釈。 (「文政3年同著者刊行(墨版)の彩色多色版」) 江戸の花道が近代に再編成され、 「伝統文化としてのいけばな」が確立していく過程を示す資料です。

■ 幕末 ― 浮世絵に描かれる「いけばなブーム」(19世紀)
江戸後期になると、いけばなは町人文化として大流行し、 浮世絵にも多数描かれるようになります。

● 歌川国芳「見立さし花梅をいける」(1847)
梅の折りいけを題材に、町人の花道趣味を描く。 (「梅の折りいけの言葉が残る」)

● 喜多川歌麿「箱釣篭に朝顔と花菖蒲をいける」
朝顔・花菖蒲という人気花材を描いた作品。 (「朝顔と花菖蒲のいけ花」)

● 歌川国貞(二代)「今様六々乃花競」(1861)
花魁が菊をいける競作図。 幕末の「花競べ」文化を象徴。 (「おいらんのいけ花」)

■ まとめ
今回の講座では、 室町末〜江戸〜明治にかけての活け花図譜を一望し、 立花から生花、挿花、そして浮世絵に描かれる町人文化へと広がる “江戸の花道の全体像”を体験していただきました。 江戸園芸の成立を扱った先月の講座(伊藤伊兵衛)に続き、 今月は「花をいける文化」そのものの発達を、 図譜という視覚資料を通して読み解く内容となりました。

ご参加くださった皆さまに深く御礼申し上げます。

(資料:雑花園文庫蔵) (事務局 丹羽理恵)

『都林泉名勝図会_池坊七夕』

『新撰五十瓶図』

喜多川歌麿 画

Copyright(C) 公益社団法人 園芸文化協会. All Rights Reserved.