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【江戸の園芸で遊ぶ】@名古屋 2025年度 秋冬 3月

  今回のテーマは『蘭』

2026年3月15日、公益社団法人園芸文化協会主催により、雑花園文庫所蔵資料を公開する「江戸の園芸で遊ぶ」を開催しました。今回のテーマは『蘭」。江戸時代から明治期にかけての蘭関係資料23点に加え、東西を代表する蘭図譜として、ヨーロッパの『オーキッド・アルバム』と、日本の『蘭花譜』を特別展示し、洋の東西における蘭文化の成熟と美意識の違いを紹介しました。

江戸の蘭文化は、花そのものよりも葉姿・茎の斑入り・奇品変異を鑑賞する点に独自性があります。展示では、セッコクの斑入り種を多数収めた『長生草』(「セッコクの斑入り種、彩色図多数」 下画像中)や、富貴蘭五種を実寸大で描いた刷物(「大浪、天の川、大鵬、玉連、金錦鳥以上5種の実寸大図」 下画像左)など、江戸の園芸家たちの繊細な鑑賞眼を示す資料が来場者の関心を集めました。また、『怡顔齊蘭品』では「ラン類の本草的解釈並びに図入り」とあるように、薬用・学術的視点から蘭を捉えた知識人の姿勢も紹介しました。

一方、ヨーロッパの洋ラン文化を代表する図譜として展示した 『オーキッド・アルバム』(1882–1897 下画像右) は、19世紀に発見・育成された洋ラン528図版を収めた世界三大洋ラン図譜の一つで、John Nugent Fitch による精緻な彩色石版画が特徴です。ビクトリア朝後期の洋ラン熱を背景に刊行された本図譜は、当時のヨーロッパ園芸文化の到達点を示す貴重な資料です。今回は全11巻の内前半の6巻を展示しました。

対する日本の 『蘭花譜』(上画像) は、加賀正太郎が大山崎山荘で育成した蘭を、浮世絵木版技法を用いて記録した全104図版からなる名品で、美術的・学術的価値の双方を備えています。洋ランを写実的に描くヨーロッパに対し、日本では木版の色彩美と繊細な観察が融合し、独自の植物図譜文化が花開いたことを示しました。

来場者からは「東西の蘭図譜を並べて見ることで文化の違いがよく分かった」「江戸の蘭が葉を鑑賞する文化だったことが新鮮だった」との声が寄せられ、蘭をめぐる多様な美意識と歴史を再発見する機会となりました。ご協力いただいた皆様に深く感謝申し上げます。

(事務局 丹羽理恵)




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