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園芸文化協会の活動Activities

「冬を彩る縁起花・牡丹を知る、観る、育てる」
  東京都美術館・上野東照宮ぼたん苑

 1月下旬というのに、コートが要らないほどのぽかぽか陽気。園芸の楽しさがギュッと凝縮されたような、冬の日の午後でした。

 第1部は東京都美術館の講堂で、小笠原誓常務理事のご講演。ボタンの園芸の歴史について深く面白く語ってくださいました。「牡丹」の字源、いつ日本に渡来したか?、寒牡丹と冬牡丹の違い、なぜ獅子にはボタン?、能や歌舞伎の舞台に飾られるボタンの造花、浮世絵のボタン(鳥文斎栄之、歌麿、北斎)、そしてNHKの大河ドラマ「べらぼう」と趣味の園芸の「べらぼうな花たち」の紹介、と盛りだくさんで、その上、1 時間の講演時間を5 秒も違えないワザはさすがでした。美しい絵画や古書の画像も堪能させていただきました。

 小笠原常務理事に続いて、永田晶彦副会長との対談形式で、大根島の松本農園の松本悠太さんからボタンの苗作りについての話がありました。台木とするシャクヤクのタネまきから始まり、「ひげむしり」という根の整形、台木完成まで2 年かかること、ボタンの接ぎ穂の切り方、接ぎ方、万単位の株の手作業での植え付け、掘り上げ。じつは昨春、鳥取で開催された国際園芸学会の視察旅行で松本農園を見学させていただきました。広大なボタン品種見本園(畑?)で松本さんのお義父様から直接、育種のお話もお聞きしましたので、今日の講演で改めて技術力とボタンへの情熱に感銘を受けました。印象に残ったのは、250 もの品種を接ぎ木で維持しているのを「好きでやってるんで、あれなんですけど」とおっしゃったことです。品種保存の意義を実感していらっしゃるからこそ、と感じました。

 第2部は上野東照宮ぼたん苑に移動して「冬ぼたん」を見学しました。苑内貸し切りです。私はなんと30 年ぶりの訪問でしたが、花はもちろん、葉の美しいことに驚きました。傷一つない柔らかな葉が藁ぼっちに守られていました。ボタンの花の色、ぼかしや縞などの変化の豊かさ、そして何よりも花の大きさと優雅な存在感は、やはり花の王様です。苗を購入されている方もあり、まさに今日のタイトル「冬を彩る縁起花・牡丹を知る、観る、育てる」そのもの。充実のひとときでした。 (御巫)


第1部 「冬を彩る縁起花・牡丹を 知る、観る、育てる」 小笠原誓常務理事


松本農園 松本悠太氏(右)による大根島での牡丹生産について(進行役の永田副会長と)


第2部 上野東照宮 ぼたん苑



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